第113回 釜飯仲間・おこげのお話

2018.5.30
神奈川・緑の劇場

『釜飯仲間』=おこげのお話=
~神奈川の農業のこと、食べ物のこと。生産者に寄り添って31年~

 「はまどま」のしつらえを大きく改善しようと、NORAの会員だけでなく、地域で子ども食堂を運営していたり、小学校の放課後キッズクラブで子どもたちと関わって、子どもたちに豊かな体験をしてもらいたいと願う人たち、また、子どもたちの自然体験のプロジェクトを20年続けている皆さんたちが関わってくれています。子どもたちにとって居心地の良い場所は、おとなたちにとっても、高齢者にとっても、大切で居心地の良い場所になっていくと思われます。

おとなたちには、社会での担いどころ、生きがいも大切です。

国会では、超党派の国会議員でつくるプロジェクトチームが、子どもたちに農山漁村での体験活動を促す議員立法の案「青少年自然体験活動等の推進に関する法律案」をまとめたとのことです。主に小・中学生を対象に農山漁村に一週間程度滞在し体験活動をすることを基本理念にかかげ、国や地方自治体に対して

体験活動が具体的に行われるための基本方針や計画策定を求める内容とのことです。自然体験、農林漁業体験、伝統文化に触れる機会をつくるなどを通して受け入れ地域の活性化、人材育成につなげていくとしています。

(日本農業新聞5月26日付一面)

先月のコラムでも「場」のことを書きましたが、私にとって欠かすことのできない「場」が、もう一つありました。

長野県北安曇郡中土「真木分校」です。

2014年秋の極地的な震災で崩壊、危険になり取り壊しになりました。

1974年7月末から8月。15名前後の子どもたちは、小学校5年生と6年生。20歳前後の青年が約10名。そのうちの一人が私でした。ニックネームは「コックさん」。全体を率いるのは、兵庫県宝塚市売布のミュージックスクールの校長「カバゴン」

縁あって、関西の子どもたちの面倒をみるお兄さん役「カウンセラー」になったのです。子どもたちを後立山連峰の白馬岳登山に連れていく計画をしたカバゴンが、登山経験の無い関西の青年だけでは心もとないと「だれかおらんか?」と、ワンダーホーゲル経験豊富な横浜の従兄弟に声をかけ、その友人として探し当てられたというわけですが、私は経験と言えるほどの経験もなく、ただ、体力だけは絶頂期でした。

真木分校は、当時、すでに廃校になった小学校。カバゴンが内部を改装して、調理室や、宿泊できる部屋を設けていました。

すでに、宝塚近郊での野外活動は経験を重ねていたとはいえ、子どもたちは、親元から遠く離れた長野県の山間地で1週間余りの共同生活をすることになったのです。子どもたちにとっても忘れがたい経験だったと思います。が、私にとって、それは衝撃的な日々となり、先に進む勇気を得ることになりました。ここでの経験がなかったならば、その後の劇団活動もなく、そこから転じた産直センターでの暮らしにもつながらなかったわけで、若い日々の出会いと経験が、私には、“救い”になりました。横浜からの参加を誘ってくれたもう一人の友人にも、どれだけ感謝してもしきれません。そして、関西から来た同世代の青年たちの、清々しさ、まっすぐに前を向いて子どもたちと接する姿勢。その後も、何度も何度も、思い出しては自分を鼓舞する出会いの日々になりました。

「はまどま」のこれからであれ、すでに参加させていただいている「子ども会」などの活動、蒔田小学校や東俣野小学校での紙芝居や民話の語りなどでも、子どもたちとしっかり向き合いたいと思っています。子どもたちは、またたく間に成長します。そして、彼らも幾度となく人生の岐路に立つことでしょう。何がどうということはわからない、彼らにとって、私が、どんな大人、これからは年寄り、として映っているのかはわからない。けれども、いよいよ、精いっぱいの姿ではいたいと思います。

さて、今回の最後には、「場」を設けて、自身の音楽活動を展開させようとするChojiくんのことに触れさせてもらいます。

NORAの会員でもあるChojiくんは、NORAのテーマソング「里山劇場」を創作したり、盆踊り唄「浜っ娘音頭」は、蒔田公園での盆踊りでの定番曲にもなっています。

彼が、三重県津市三杉町に移転して1年余り。そこには、平屋の、しかし幾つもの部屋がある母屋と離れ、倉と、鉄筋2階建ての倉庫、田んぼと畑もあるのです。

いよいよ、新しい拠点でのオープン記念ライブを、6月17日(日)に催すとの知らせが届きました。

NORAと出会いChojiくんと出会い、やがて、かれの音楽が生まれることになる現場にも幾度となく立ち会うこととなり、彼の音楽が「自分の音楽」と言っても過言ではないと思うのです。先日、体調不良の時に「田んぼオブザワールド」を聴いたら元気になったのです。

「田んぼオブザワールド」を聴くと、あの夏、あの、和歌山県筒香での時間を想い出し、身体も当時に若返るのでしょうか?

そして、Chojiくんには、彼を愛してやまない仲間が何人もいて、はるか遠方からでもライブに駆けつけてくるのです。そういう仲間たちと親しくなれるのも嬉しいことです。これからは、三杉の拠点から、出会いが生まれ、生きる力が湧き出すことでしょう。

Chijiライブスケジュール
http://choji.jp/schedule.html

(2018年5月28日記 おもろ童子)